zokkon__U

音をたてて沼に落ちたド新規の日常(妄想)

BAD BOYS~ナンコーのヤンキー~②

それからも時々、ふらっと宮舘さんは来た。
もちろん後ろにはダルそうな渡辺さんを連れて。


「おっ!期間限定~!」

「そうなんですよ!今月だけなんですよ?」

「なら、これ買わない手はないよね。」

「お買い上げありがとうございます!」

女子みたいだなんて思いながら宮舘さんを見る。

ん?ってすっごくイケメンな顔してる。
けど、この人も立派なナンコー生。

開襟シャツの胸ポケットのところに刺繍された校章がその証。


そしてその後ろで居心地悪そうにスマホいじってる怖そうなお兄さん(正確には怖いことでめちゃくちゃ有名らしいお兄さん)渡辺さんも立派なナンコー生。


「涼太、先行ってるからな。」

「はいはい。」

だったら、ひとりで帰ればいいのにね。ってこそっと私に言ってきた宮舘さん。
ほんとにこのふたりは仲がいい。


「ありがとう。また来るね。」

と宮舘さんが帰ると入れ違いに奥さんが奥からやって来る。

「ちょっと○○ちゃん!今の子誰よ!彼氏!?」

「え!?ち、違いますよ!!」

「ほんとに~??」

「彼氏出来たら一番に奥さんに言いますって!」

そう言ったら納得したのか戻っていった奥さん。
なにやら店長である旦那さんと出会ったのが高校生の時らしく、高校生なら絶対恋してると思い込んでる節があるらしい。
まあ、いい人なんだけどね。






「え?待って。花屋ってあの向かいの?」

「そう。」

親友を励まそうと呼んだのに、彼女は思っていたよりも平気そうだった。

「向かいだから何度か話したことはあるよ?」

「…へぇ。」

「いい人そうだよね。」

なんとなくだけど、いいことがあったのかなって思ったから、大事な親友だしうまくいけばいいなって思った。






「そんなもんでしょ?初恋の憧れの先輩と結ばれるやつなんてほんの一握りだよ。次の恋応援したんな。」


親友の大失恋の話をした。越岡先生にこんなこと言いたくなかったけど、それくらい私もどうしたらいいか迷ってたから。

辛辣なこと言うのは変わらないけど、いつもだったらこんなこと無視しそうなのにちゃんと答えてくれるなんて、機嫌でもいいのかな?

「そんな惚れた腫れたで人生狂わせるなんて…ね。」


あぁ違う。すっごく機嫌悪いんだ。
やっぱりこの人に言ったのは間違いだった…

そのときの先生の顔は今まで見たことないくらい冷たくてなにか怒っているような顔だった。





その日の帰り、私はなにか悪いことでもしただろうか。

道を歩いてたら、急に怖そうなお兄さんが前に出てきて止まれずぶつかる。
そしたら案の定、怒鳴られる。身に覚えのない画面の割れたスマホまで目の前に出される。

いや、絶対言いがかりでしょ。



「…あの!」

逆になんだか吹っ切れて言い返してやろうかと思ったら、目の前に誰か立った。



「なにやってるんだよ。」


「渡辺さん…」


私に言われてるのか、それともめちゃくちゃなこと言ってるお兄さんにかわからなかったけど、条件反射でごめんなさいって言葉が小さいかったけど素直に漏れた。
それくらい、今の彼は怖い。


「なにやってるんだよ。あぁ"?」




「大丈夫か。」

またもや信じられない現場に立ち会った私は気が抜けて座り込んでしまった。

「ありがとうございます…」


「あんたはいっつも絡まれてばっかだな。」

「…は、はぁ。」

「そこは否定するところだから。」

渡辺さんと話したことほとんどないからどうしていいかわからない。

「なにやってるんだよ、早く」

私が??ってなってると、

「あんたの家どっち?家まで送るっつってんの」


「そんな滅相もない!!」

思いの外、大きな声が出て、声を出した私自身はもちろん、渡辺さんもポカンとしている。



「…はははっ!!!」

突然、渡辺さんが大笑いし始めた。


「あんた、ちゃんと出来るじゃん。」

「え?」

「やりたくないこととか気にくわないこととかあってもノーって言えないかわいそうな子だと思ったからよ。」


ホテル行こうぜって言ってもついてきそうだなって思ってた。笑

って渡辺さんが言うから、慌てて否定する。

「ごめんごめんって。
涼太が怒るもんな。」


?なんで??なんで宮舘さんが怒るんだろ??

って考えてたけどわからない。

そしたら、なんで宮舘さん…?って声に出てたみたいで、

「なんでって…そりゃ、あんたが…。
まあ、いいわ。ほら、早く来いよ。」

そそくさと歩いていってしまう渡辺さん。

「ちょっと待ってください!渡辺さん!!」



「でけぇ声出すなよ!目立つだろうが!」

「いやいや!今までもっと目立つことしてましたよね!?」


今まで、いやついさっきまで怖い人って印象しかなかった渡辺さんは、実は意外と話してくれるし、冗談も言ってくれる人だってわかった。


「そもそもあんたは隙がありすぎるんだよ。」

「一般人はこんなもんなんです!渡辺さんが自己防衛能力に長けていすぎるだけです!」

「いーや!あんたが足りないんだよ。もっと自覚を持ちなさい。」

「…なんかお父さんみたい。」

「は!?…はいはい、悪かったですね。どうせ涼太の方がいいんですよねー」

「あっ、拗ねたー!」

「拗ねてねーから!!」






でもそんなこと言ったって、彼は正真正銘、ナンコーのトップだ。


「なあ、あの女連れナンコーの渡辺じゃね?」

「あぁ。…ってあの子俺知ってるわ。」

「へぇ。面白いことになりそうだ。」 




だな。

『りょーた』