zokkon__U

音をたてて沼に落ちたド新規の日常(妄想)

辰巳先輩③

「どうしたの。この世の終わりみたいな顔してるけど。」


母にこんなこと言われても何も言い返せないくらい私はどん底の状態でいた。

夏休みなのに家のなかで、寝てるかぼーとしてるかしかしていない。

そんな日々が10日ほどたったある日、スマホを見ると親友からメッセージが来てた。


>夏休みしてるー?
うちのバイト先おいでよー私奢ってあげるから!


今日暇だし行こうかな。


親友のバイト先は、駅の近くのケーキ屋さん。


ちょうど帰宅の時間と被って、人だらけの駅前。

店の前まで来たけど、とても忙しそうに働いてる。

もうちょっとしてから行こうかなって思って時間潰そうと駅の方に向いたとき、見つけてしまった。


辰巳先輩…。


そうだよね、部活あったらこれくらいの時間になるよね…

こっちに来る…?
だけど、足が動かない。


そんな私を動かしたのは、空から落ちてきた雨粒で。

こっちに向かってきていたはずの辰巳先輩の姿が目の前から消えたから引き返したか近くで雨宿りしてるのだろう。

はじめは1滴2滴だった服に落ちた跡もみるみるうちに数えきれないほどになる。





「お嬢さん、よかったらうちで雨宿りして行きません?」


そんな状態の私に声を掛けて来てくれたのは、残念ながら辰巳先輩でもイケメンの王子様でもなくて、店の前に私が突っ立って邪魔をしてた花屋の店員さんだった。



少々強引に屋根の下に連れていかれる。

そっかこんなところにいたら、お客さんの邪魔だもんね、何やってんだ私。


「ごめんなさい、お店のご迷惑でしたよね。」

「そんなことないですよ。こっちこそお節介でしたよね。…ちょっと待ってて下さいね。」


いれてもらった軒下にはいろんなお花、主に植木鉢に植えられたお花が置いてあって。

これはなんていうお花なんだろう…


「よかったらこれ、使って下さい。」

店員さんは私に真っ白なタオルを手渡した。


「どうしました…?あっ。」

「いや!その…」

私の視線の先に気づくと、

「この花はね…」


店員さんは私にいろんなことを教えてくれた。

「そうこう話してるうちにやんできましたよ。」

それはそれは綺麗な夕焼け空に変わっていた。

「また来てくださいね。」



そう言って見送られた道は、先ほどまで辰巳先輩を見つけて動けなくなっていた道と同じだとは思えないほど、色を変えていた。



そう言えば、お店の名前…


「フラワーショップ林…」



親友のバイトしてる店の前から見上げたグリーンの看板には、白い文字でそう掲げられていた。





「なんだ、意外と元気じゃん。」

二人でケーキをつつきながら世間話をしていると急にぶっこまれる。


「そ、そう見える?」

「あのとき、見つけた孝良くんが電話してきたときはビビったわ~

○○、いたけど、動けないから熱中症で倒れたってことにして保健室連れてくわ。
って。」


まあ、あのときはやつにもお世話になった。

お礼にプールの割引券あげたら、兄ちゃんと行こ~って自慢されたけど。




「夏休みは今年の夏で終わりなんだよ!来年なんてあってないようなもんなんだから!
ってことで、来週クラスの打ち上げあるから来ること!いいね?」

って勝手に決めて行った我が親友。


でもそれくらい強引にしてもらわないと家から出る気にならない。

それくらい、その頃の私は弱かった。






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めっちゃ今さらですが、Twitter始めました。
ここのアカウントと似てて、アイコンがほぼ一緒なので結構すぐわかるかと。